ドライブマイカー ’Drive My Car’

Light House Cinema@Dublin. How happy to be able to see a Japanese movie here!
2月22日(火) そういえば、今日は2022年2月22日 2が並んでる!
お昼からダブリン、スミスフィールドの映画館へ。車を運転して山を降りてダブリンへ向かうときから、もう映画館へ行くのが嬉しくて、わくわくしました。
映画を観に来るなんて何年ぶりか?思い出せないほど久しぶりです。
「ドライブマイカー」 評判をたくさん聞いていたので、もう諦めていたけれども。偶然22日(火)にLight House Cinemaで上演されると知って、迷わず予約しました。

Light House Cinema こぢんまりして、ときどき良い作品をやっていて、大好きです。
ちょと中心からはずれた、ーというか、いつも思わず同じ場所ばかりに行ってしまうダブリンなのだけれども、他にも面白い地区がある、そのうちのひとつスミスフィールド。
駐車場から外へ出ると向かい側に聳えているのは、ウイスキー工場の塔。
前にここで、日本のアニメ映画祭に来たり、小津安二郎の「秋刀魚の味」や、インドの映画(今でも忘れられない、お弁当の話)Lunchbox を見ました。

さて この長い作品「ドライブ・マイ・カー」
西島秀俊の主人公・家福悠介が気難しそうで優秀そうな演出家と、信じやすいナイーブな男と、両方の表情を見せて可愛いなあ。
広島から1時間ドライブして行く島の旅館の部屋。海の見える場所。窓ガラス。

無愛想なドライバーの女・渡利みさき(三浦透子)の故郷へ行って(ここもまた無愛想な何もない雪景色)過去の話が魂に触れた家福。そのあとの演劇シーンで救われたような笑顔を見せるが、そのシーンで相手役の役者(このひとがとても美しかった)演じるのは韓国語手話。
ほんとうに通じているのか疑わしい、という意味があるのかも?
それでも、とても癒される場面だった。

ところが一転して次の場面は、「マイカー」で韓国の道路を走っている、みさき。
スーパーで買い物をしてしゃべっているのも韓国のことば。
何がどうなってるんだ?
彼女の北海道の話って虚構だった?
それともマイカーごと韓国に移住した?
家福はどこへ行った? 
うわーわからん。
奥さんも嘘をついていたかもしれないけど、みさきも嘘をついていたか。

全体に謎が謎を呼んで迷路に入ってしまうような、それなのに家や道路や景色は妙にクリーンなシュールさ。

ひたむきに純真な韓国人の女優と、開き直ったように厚かましくさえある台湾人の女優。
中性的におじさんだかおばさんだかわからないような、年配の女優と俳優がタケノコみたい。
オーディションで集まった俳優集団は絶妙だった。

そんななかで(本人も言っているように)浮いている奥さんの浮気相手の若い俳優って、単に暴力や性衝動を抑えられない若者か?
嘘をついても表にあらわさずに嘘をつき通す女(たち)と対比される存在。
子どもを喪ってまだ数年かと思ったら20年も経っていて、夫婦がすれ違っているのに愛し合っていることを演じ続けて愛だと勘違いさせながら(しながら)浮気常習。
悲しく美しい女。
ううーむ、それもあるかもしれないけど。
彼女の考え語る物語は、気持ち悪い。

バーでウイスキーを飲むときの動作が落ち着いていたわりには、いつも逃げるように「お勘定」と立ち上がってしまう家福。
でもやはり何かを信じなければ生きていかれないのが人間だなあと、妙に納得しました。
それで結局、彼は何を信じるのだろうか?

それにしても、広島でも東京でも長野でも埼玉でも、どうして日本の道や建築物は、どこでも同じように綺麗で殺風景なのだろうか。

村上春樹の本の「ドライブ・マイ・カー」は違う話であるようなので、そちらも読みたくなりました。

追記。
翌日、Facebookで友だちといろいろやりとりしました。
いろんな人がいろいろ考えたことを聞かせてもらうのは興味深い。
sachanもコメントをしながら、また考えました。

この作品が嫌いだったわけではありません。ただ、たくさんのものが含まれていて、濃密な世界。
濃密で哀しくて豊かで澄んだ世界でした。
違和感を感じる部分があったとしても、丁寧に作られてあって俳優陣も素敵な作品だったと思います。

帰ってきて上のメモを書いて、夜遅くに三浦透子さんのインタビューをYouTubeで見つけました。
そうかーsachanの見方はひねくれ者だったかしらねーと思いました。
西島秀俊さん演じる主人公が好きなので、なんだか主人公の行方が心配になったという感じ。

深い悲しみから目をそらして、ずっと生きてきた男の、魂がいとおしい。
その男に関わり合う人たちの網の目が、壊れた魂を優しく掬い取ってくれる様子が感じられた。
毎日触れ合うドライバー。劇場の韓国人の男性とその妻(であり女優)。
そんなふうに、今朝は思います。

ともあれ、映画館で普段と違う世界に運ばれていく感覚は良いものですね。
映画を見たあとで、気のおけない友人と、あーだこーだ話す楽しみも、良いものですね。
昨日はひとりだったけれども、Facebookで少しだけ、疑似体験できました。

だいぶコロナも治まってきた感じなので、もっと山歩き以外のこともするようにして、いろいろ刺激を受けたいと思います。

ひとつだけ、フェリーの通路から西島さんが海に飛び込んじゃったらどうしようーとドキドキした。
あんな強風なのにジャケットを手に持ってて。。。と思ったのはやっぱりアイルランド的?

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